手の届かない、桜の木の下の君へ
7
待ちに待った外泊の日
色々悩んだけどもう楽しむしかないと思って
今日のために買っておいた洋服に着替える
準備をしていると診察のために先生がきて
「おはよう、どう?」
「元気だよー、すごく楽しみ」
「良かった。無理し過ぎないでね」
「わかってるー、」
「あのさ、ことり」
「なに?」
「外泊から帰ってきたらさ、ちょっと話あるんだ」
「なに、怖いんだけど」
少しおちゃらけて言ったのに、真剣な顔を崩さないから大切な話なんだと悟る
「わかった。帰ってからね」
「うん、楽しんで」
そのまま先生が玄関まで送ってくれた
「あ、そうくんに行ったよーって言ってほしい」
「・・わかった、言っておく」
「ありがと
じゃあ、いってきます」
「いってらっしゃい」
そうくんの名前を出すと、またちょっとだけ顔が曇ったように見えて
もやもやしたけど、今日は楽しい日だから
外へ足を一歩踏み出した