手の届かない、桜の木の下の君へ
「ただいま!」
3日ぶりに小児科の病棟に入って、受付に顔をだすと
看護師さんや先生たちが、口々におかえりといってくれる
病院にただいま、ってきっと変だし
可哀想な子だなって思われるのかもしれないけど
やっぱりここは私の一番落ち着く場所で、帰ってきたいと思う場所
あたたかい気持ちになって、部屋に戻る
荷物をかるく片付けていると、みどり先生が入ってきた
「おかえり」
「ただいまー、ふふ」
「どうしたの、笑」
「なんかただいまって言ってもらえるの嬉しくて」
「そっか、ちょっと診察してもいい?」
「うん、」
心音を聞いて、血圧をはかって
一通り終えるとちゃんと笑顔で大丈夫だねと言ってくれた
「あ、先生これ、お土産」
「お、ありがとう
ネッククッションだ!」
「最近忙しそうだからさ、先生」
「あー、ちょっとな」
「それさえあればどこでも寝るらしい」
「ありがと、めっちゃ助かるよ
さっそく医局の椅子につけてくる」
「あとで使い心地教えてね〜笑
そうだ、話って?」
「あー、また改めてにする
お土産渡しに行くんだろ?」
「わかった、じゃあ渡してくる」
「あんまりはしゃぎすぎるなよー、」