手の届かない、桜の木の下の君へ


コンコン



「おじゃましまーす」

「あ、ことりちゃん。おかえり」

「ただいま、」



3日ぶりに会いに行ったそうくんは全然変らない様子でそこにいた

そうくんの周りだけ時間が動いていないんじゃないかなっていうくらい、そのまま。



「どうだった?外泊」

「すごく楽しかったよ。世界ひろーってかんじ」

「そっか。笑」

「そうくんはあんなに広いところで生きてきたんでしょ?私には想像できないや」

「広いなって思ったことはなかったけど、いいところだよ」

「ほんとに?」

「ほんとに。
 もちろん大変だけどさ、広い世界も悪くない」

「そっかぁ、そうくんがずっとそう言ってくれるから
 大丈夫な気がしてきた」

「それはよかった」



ふふっと笑っていつもの雰囲気。

あ、と思い出しカバンの中からお土産を出す



「そうくんこれおみやげ、」

「ぼくに?ありがとう、開けても良い?」

「うん」

「わー、いいね、ペンケースだ」



そういってにこにこしてくれるから

喜んでもらえてよかったなと一安心



「そうくんが持ってるところすぐ想像できちゃった」

「ありがとう。大事にする」
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