手の届かない、桜の木の下の君へ
4日くらいが経って、熱も下がって落ち着いた頃
いかにも大切な話をしますって顔のみどり先生がやってきた
「構えすぎて怖いよ、先生」
「ごめんごめん
話、しようかとおもって」
「うん、」
「あのな、そろそろ退院しようか」
「退院・・」
退院なにそれ美味しいんだっけ、外泊との違いはなんだっけ、と頭の中はぐるぐるしているけど
なんとかこぼせた言葉は1つだけ
「18になるタイミングで小児科を卒業なのは知ってるだろ?
転科してもいいんだけど、ことりは治療が終わってる段階だから長期入院はできない。
ならこの成人のタイミングで退院が良いんじゃないかっていう担当医からの提案です」
「いつ?」
「4月、かな」
「あと2ヶ月、急だね」
「いつ言うか迷ってて。
外泊楽しめたみたいだから今かなと思った、3月の頭には決めたい」
「ちょっと一人でかんがえたい」
「・・わかった。また来るね」