手の届かない、桜の木の下の君へ


「・・り・・とり!・・ことり!」

「ん・・せんせ、」

「あー、よかった、ほんとによかった」

「あれ、わたし」

「考え事しながら降りてきてるなって思ったら、足踏み外すからびっくりしたよ
 ことりが落ちてきた時の衝撃といったら今までで一番だし、」

「・・先生が助けてくれたの?」

「そうだけど、どうした?」

「ううん、ありがとう・・」




あの時たしかに聞こえたのはそうくんの声だった

先生の隠し事はすぐにわかるから嘘はついていない、

だけどあの時、そうくんは私のことを「ことり」って呼んだんだ
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