手の届かない、桜の木の下の君へ

ほんとうの学校のように時間割が決まっているわけでも

みんなで同じことをしたりするわけでもないから

それぞれがそれぞれのスピードで違うことをする



「ねぇ、ことりちゃん、これわからなーい」

「これはね、昨日一緒にやってみたさくらんぼの形を作るんだよ?」

「さくらんぼ分かる!」

「うん、さくらんぼやってみよ。
 わっ、まーくんどうしたの手真っ赤じゃん」

「クレヨンいっぱいついちゃった!」

「あちゃー、手洗っておいで?」

「みてー、これすごいでしょー?」

「おー、すごい。お空上手に描けてるね」



私が数学の問題集を解いている横で、

ひらがなの勉強をしていたり、お絵描きをしたり、

時々先生に質問をして、子どもたちに質問されて、一緒に絵を描く

きっと普通の学校ではありえないこんな状況も、私たちらしくて好きだ



お昼になると給食の時間みたいに、みんなで机をあわせて

ご飯を食べる。

食べるものは、年齢や病気によって違うけど

一人で食べるご飯よりみんなで食べるご飯のほうが美味しい



午後からは課外授業、なんて言って

病院の外にある大きな庭出て、遊んだり、お昼寝する子もいるけど

今日は検査があるので、一度部屋に戻る。

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