手の届かない、桜の木の下の君へ



「出会った日ね、ことりは学校にいってると思っていたから、外に出てたの
まさか出会うなんてびっくりだったんだよ」

「そうだったんだ・・、あの日はたまたま検査の疲れがでちゃって・・」

「僕の姿は、ことり以外には見えていない。声ももちろん」

「どうして、どうして、私のところに来てくれたの?」

「ことりには、元気に広い世界で生きてほしい
 これから楽しいことがたくさん待っているはずだから。
 これを伝えに来た」

「・・」

「そとの世界が怖い?」

「・・少し。でも・・そうがたくさん楽しい話をしてくれたから
 今は出てみたいと思う」

「良かった・・
 ぼくの役目はこれで終わり、ひなが寂しがるから。もどらなきゃ」

「・・もう、会えない?」

「ぼくたちはいつでも君のそばにいる
 いままでみたいに」

「・・ありがとう、そう」

「またね、ことり」



涙でぐちゃぐちゃになった顔を上げると、そばにいたのはみどり先生だった



「いっちゃった、」

「そっか・・戻ろう?」
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