手の届かない、桜の木の下の君へ
病院前に止めてあった先生の車の助手席に乗り込む
「忘れ物ないか?」
「たぶん大丈夫。まあ、あったら戻ってくる笑」
「そうだな、笑」
先生の方を見るのは少しだけ恥ずかしくて、
真っ直ぐ前を向いたまま
「先生、今までありがとうございました」
「こちらこそ、今までありがとう」
「これからもよろしくお願いします」
「はい、もちろんです」
横を向くとこっちを見て微笑んでいるみどり先生
そうとひなの想いを胸に、私は広い世界で生き続ける
手の届かない、桜の木の下の君へ
いつまでも見守っていてね。