手の届かない、桜の木の下の君へ
中庭に向かう途中、どこからかピアノの音が聞こえてきた
音の元を辿って着いたのはいつもがあまり使われていない、旧プレイルーム
そっと中を除くと、1人の男の子がピアノを弾いていた
まるで音と遊ぶように、どこか懐かしい歌が流れる
音がなり終わるのと同時に扉を開けてしまった
「あの、すごく素敵でした!」
するとその男の子は私の顔を見てすごくびっくりした顔をする
「あ、急に、すみません」
「ありがとう、ございます。まさか聞かれていると思わなかったから」
「外歩いてたら、音聞こえて」
ピアノの椅子をおり近くに腰掛けたので、私も近くに座る
「507に入院してる佐藤ことりです、お見舞いとかですか?」
「あ、ううん。607に入院してる青山そうです」
「そうなんだ。高校生、だよね?」
「うん、高2。最近、転院してきたんだ」
「なるほど!なんか同世代の子すっかりいなくて
もう居ないと思ってたからびっくりしちゃった」
「そっか、僕も同世代が居て心強い」
「なんかできることあったらなんでもする。笑」
「ありがとう、もう1時か、そろそろ戻らないと」
「引き止めてごめんね」
「ううん、話せてよかった」
歩き出す背中に言葉を投げる
「また会える?」
「いつも病室にいるから。良かったら来てほしいな」
「わかった、」
なんだか温かい気持ちになって、
プレイルームに入る前向かおうとしていた中庭に向かう