夕暮れリリィ
「メイナのことは……


好きじゃない…」




…やっぱり、そうだよね。



知ってたよ。




「メイナは恋愛対象になれない」




わかってたことだけど、アスマの言葉が鋭い刃物のようにあたしの心に突き刺さる。




「え〜?ほんとー?」



もう一人の女の子は茶化すように聞く。



「ほんとだよ。もう日が暮れてきたしかえろ」



あきれたアスマはイスから立ち上がる。




まずい、こっちに来る。



慌てて立ち去ろうとした。



けれど、しっかりと手の中におさまっていたはずのクッキーが滑り落ち、音をたてて床に落ちていった。



「誰かいるの?」



アスマが気づく。


こっちに向かってくる。


急いで逃げなきゃ。


どうやって顔を合わせたらいいかわからない。



クッキーを拾い上げた。



でも、そのときにはもう遅かった。
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