夕暮れリリィ
ほっぺたをぷくーっとふくらませて顔をぐいーっとアスマに近づけた。


それはもうあたしたちの毛穴と毛穴が見えるくらい。


アスマのキレイな髪の毛が頬をかすめてニヤけそうになったけど我慢、我慢!


なんてったって今のあたしは怒ってるんだからっ。


気を引き締めてキリッとした表情で大きく息を吸い込んだ。




「そんなのアスマに食べてもらいたいからに決まってるでしょ!」



あたしのあまりの気迫に思わず後退るアスマ。



「もーぅ、怒った!バツとして、アスマには絶対絶対ぜーったいクッキー食べてもらうから!!」



マンガの捨て台詞みたいにビシッと指を突きつけて、あたしはアスマを置いてずんずん校舎に向かって歩き出した。



後ろからなんか言う声が聞こえるけど怒ってるメイナちゃんは聞いてあげないんだからっ。




アスマはまったくあたしの気持ちをわかってないっ。







……誰でもいいわけじゃないのに…。





< 5 / 45 >

この作品をシェア

pagetop