愛してる
「やっと、邪魔者が消えるな。」
矢島はそう言って、上体を起こした。こいつ、私が二人の仲を取り持ったこと絶対に、忘れてる。あの日、わざわざ唯が委員会で遅くなること伝えて、告白できるようにセッテイングしたの、私なんだけど。
「えっ、ちょっと蓮。いつから起きてたの。それに邪魔者って言い方はないよ?」
「ん?ずっとだけど。それに、事実だろ?俺は二人でいたかったのに。」
「なっ、別に後で2人でゆっくりできるじゃん。」
唯の頬が真っ赤に染まる。
「まぁ、そうだな。」
矢島が嬉しそうに顔を綻ばせる。
ふっ、単純なヤツ。
私は、そう思いながら2人を見る。幸せそうに話している二人を見て、さっき湧いた怒りは消えた。二人が幸せならいっか。そう思って2人に声をかける。
「またね。唯、矢島。」
「またね、野原さん、蓮。」
「またね。」
「またな。」
私達はそうして二人に別れを告げて、
カフェを後にした。
「いや、あの二人は相変わずだったね。」
朔はそう言いながら幸せそうに、笑う。
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