この結婚には愛しかない
「布団を敷いてます」
「うんそうだね。なんのため?」
「2人で寝るにはシングルベッドは狭いので、私がこっちに寝ますね。伊織さんはベッドを使ってください」
「うん。それは聞き入れられないな」
「でもこの布団は佐和専用状態で、干してるしシーツも洗ってますけど、でも佐和が使ってる布団に伊織さんがっていうのが、ヤキモチというか、なんか嫌で」
「そうじゃないんだけど。なんでそんなかわいいかな。ああもう、こっちおいで」
パソコンを閉じ、立ち上がった伊織さんがベッドに座る。私は敷きかけた布団をそのままにして、素直に従い伊織さんの隣に座った。
「俺嫌だから。別々に寝るの」
「(嫌だからって...かわいい...)」
「しかもなんなの、ヤキモチとかかわいいこと言って」
「だって」
「ああもう、」
「キャッ」
勢いよくベッドに押し倒されて、びっくりして声が出た。