この結婚には愛しかない
「うんありがとう。さっきマンションを調べてた。賃貸の相場や分譲もね。分譲を購入して将来家を建てたら売却してもいいし、貸し出してもいい。とにかく一日でも早く莉央と暮らしたい。一緒にいられる時間を大切にしたい」

「私もです。私もマンション探しますね」

「本当はすぐにでも結婚式を挙げたい。新婚旅行も行きたい。家も建てたい。子どももたくさん欲しい。いろいろ願望はあっても、プライベートはどうしてもスローペースになってしまうことを許して欲しい」

「そんな...私の方こそすみません。伊織さんは私たちのことをゆっくりとお考えだったのに、私が突然結婚して欲しいなんて、」

ストップ。と言葉を遮られる。


「それは違うよ。莉央がプロポーズしてくれたから、今俺たちがこうして一緒にいられるんだから。感謝しかないよ」

「私、本当はベッドが狭いねって笑いながらくっついて寝たいです」


あんなに多忙な伊織さんの頭の中に私を入れていただいて、すごく申し訳ないと思ってしまう。仕事の邪魔をしてるんじゃないかって。

きっと今までなら、こんな言葉は言えずに飲み込んでいたと思う。


でもわたしは伊織さんの妻としてこれからを過ごしたい。愛して、愛されて、辛い時苦しい時は手を取りあって乗り切りたい。そんな2人になりたい。

< 110 / 348 >

この作品をシェア

pagetop