この結婚には愛しかない
「昨日子どもがたくさん欲しいとおっしゃってましたけど、私も伊織さんとの子ども...授かりたいです。考えるだけで幸せです。他にも、結婚式や旅行もしたいと考えてくださっていて嬉しかったです」
「子どもはすぐにでも欲しいけど、今は仕事でも莉央の力が必要だから」
伊織さんがくださる言葉は全て嬉しくて特別で。でもこの言葉は感慨深い。
伊織さんともう2度と会えないと思っていた期間の原動力は、もしもいつかお会いすることができたとき、恥ずかしくない仕事ができるようになっていたい。
ただそれだけで3年間がんばった。それを認めていただけた。
見つめ合って、引かれあって口づけしようとしたら。
炊飯器から炊きあがりを知らせるメロディが流れて笑った。
「俺も手伝うよ」
「ありがとうございます。ところで伊織さんお料理の腕前は?」
「そうだな...米は炊ける。切る、焼くもできるよ」
「すごいです」
「すごくないでしょ、得意じゃないって言ったんだよ」
伊織さんともつれ合いながら、キッチンへ移動した。