この結婚には愛しかない

「迎えに行ったときリオに恋人がいたらどうするんだ?」

「全力で奪うよ」

「結婚していたら?」

「メッセージの中で恋人ができたような素振りがあったらその段階で奪うしかないな」

冗談めかして言ったけどかなり本気だ。彼女はとても可愛いし、愛嬌があるから男性社員から人気だった。

彼女も俺のように、離れていても想っていてくれるのを祈る。


「ホールディングスにもしものことがあったら、俺は故郷に帰ってじゃがいもでも作るよ。そうだ!俺の地元の仲間のジンクスを教えてやるよ」

「ジンクス?」


とある高級ジュエリーショップの名前を出し、知ってるか?と尋ねられる。もちろん誰しもが知っているような店だ。

「ニューヨーク本店でエンゲージリングを買ってプロポーズをしたら失敗なしさ」

「本当に?」

「本当だよ。俺は奥さんに3回プロポーズして、4回目でそこの指輪を買ってプロポーズしたら結婚してくれたよ。それから友人が真似するようになったんだけど、みんな成功したよ」

「へえ、すごいな。ジェイデンのご利益にあやかりたい」

「ゴリヤク?」


ジェイデンは日本にいた事があるけど、ほとんど日本語が喋れない。
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