この結婚には愛しかない
無事部屋に帰ったものの、相変わらず顔色は真っ青で、何とか胃薬と頭痛薬だけは飲んでもらった。

ベッドに寝ていただいて、近くのコンビニに走っていってスポーツドリンクを買った。

心配で心配で、一晩中様子を見守った。


伊織さんはピクリとも動かず、声も発さず。何度胸が上下しているか確認したか。何度胸に手を当てて心臓の鼓動を確認したか。

結局、床に座ったままベッドにもたれかかって寝てしまい、元気になった伊織さんが起こしてくれたのは朝の7時過ぎだった。


立ち上がると体中の節々が痛かった。ソファーに座ると伊織さんも隣に座られ、ごめんねと腕を撫でてくれた。

「本当にごめん。体痛いよね、床に寝させてごめん。シャワーもせずにスーツのまま莉央のベッド占領して...ほんとごめん」

「伊織さんもう大丈夫ですか?」

「うん」

「よかった!顔色も良くなってますね。何も気にしないでくださいね。あ!スポーツドリンク買ったので飲んでください」

「本当にごめん。夜に呼びつけて運転させて買い物まで...」

「大丈夫ですよ。むしろ頼っていただいて嬉しいです」

ほっとして笑顔になる私とは対照的に、伊織さんはすごく申し訳なさそうに何度も謝罪を口にされる。
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