この結婚には愛しかない
「正解。省エネ設備への更新を提案されたけど、今年はそこに資金回せないって言ったら、じゃあスマートファクトリー化はどうだとか、あれはこれはと次々提案された。最終的にはとにかく1回工場入らせてくれ。提案させてくれって。怖いよね。講師の報酬に、何億、何十億規模の案件持ちかけられた。でもこういうのなんだよね。俺が求めてるの」
うちの営業のマインド変えなきゃ。と呟いた伊織さんの横顔が凛々しくて。改めて神田専務である伊織さんに魅了された。
それから、伊織さんは早瀬社長に昨夜のお礼の電話をされた。赤澤さんへのメールの返信も。
マンションと式場を見に行かせてほしいと言ったところ、すぐに対応してくださって、両方とも午後から見学させてもらった。
両方とも申し分なくて、伊織さんの言う通りトントン拍子に決まっていった。最短日を提案してくれた挙式の日程は、こちらの都合で先延ばしにしてもらった。
伊織さんが多忙で、準備に時間が裂けそうにないから。
準備を莉央任せにしたくない。一生に1度の記念を一緒に作っていきたいと言ってくださってとても嬉しかった。
マンションへの入居は急ぎたいから、明日は家具を見に行くことになった。すごく楽しみ。
その帰り、伊織さんに連れられふらりと入ったお花屋で、季節の花がいっぱいの花束を買ってくださった。昨日ごめんねありがとうって。
もちろん見返りなんて求めてなかったけど、ありがとうと言ってもらえて、大好きなお花をもらえて、すごく嬉しかった。