この結婚には愛しかない



馴染みのグリーンショップで、伊織さんと念願の観葉植物選びができて、嬉しくて嬉しくて笑顔が止まらない。

店内に所狭しと並べられているたくさんの種類の植物たちに、目移りしてしまう。


「伊織さん見てください!このドラセナを伊織さんの書斎にどうですか?葉っぱがシュッとしてかっこいいから伊織さんみたい」

「ははっ。俺はにこにこしてる莉央がかわいい」

「もう、またそんな...あ!玄関にパキラがいいなって思うんですけど、こういうのお好きですか?風水的にはビジネスや仕事運を高めると言われてます」

「へえいいね。あっちの大きいのじゃなくていいの?」

私が選んだのはせいぜい1メートルほどで。伊織さんが指さしたのは伊織さんほどの背丈がある。


「あまり大きくないのを大事に育てて大きくしたいんです。でも玄関のサイズ考えたら大きい方がいいですね。大きいのにしましょうか」

「いやこれにしよう。莉央が欲しいものじゃなきゃ意味ないでしょ」

「ありがとうございます」

「これは伊織さん?」

「はい!」

「ははっじゃあ俺は朝晩伊織さんに声かけるよ。いってきます、ただいまって。莉央をハグした後でね」

私との生活を当たり前のように頭に思い浮かべてくださっていることが嬉しくて、私から腕を組むと微笑んでくれた。
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