この結婚には愛しかない
最近伊織さんと、英語縛りの会話を遊びですることがある。

休みの日のドライブ中とか、食事中とか。

英語を話せる方が仕事で役に立つからと、私からお願いしたのだけれど、所詮学校英語レベルだし、伊織さんは甘々だからあまり先生役には適していない。


もし言葉が分からなかったら佐和...は打ち合わせ中。長谷川くんも同じ1階のどこかの部屋で来客対応中だし、そもそも彼の英語は私と同レベル。

だめだめ。人に頼ろうとせずにやっぱり自分で。


ノックをして入室した。6応接でお待ちだったのは、とても綺麗な女性だった。

日本人と見分けがつかず、背が高くとてもセクシーで、体中から自信が満ち溢れていた。


「お待たせ致しました。初めまして。神田伊織の妻の莉央です」

カタコトの英語で簡単な自己紹介をして、英語表記の名刺を渡した。

陳様も名刺を出してくださって、流暢な英語で挨拶され、驚いた。

陳怡君(チンイージュン)です。ミシェルと呼んで」


ミシェルさんだ!


名刺をまじまじと見られ、次は私自身を上から下までまじまじと見られ、「ふーん、まあまあね」と英語で呟いた。
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