この結婚には愛しかない
17時の5分前に4人で専務室に向かっていると、ちょうど伊織さんが部屋から出てこられた。
「体調どう?」
「大丈夫です。ご心配をお掛けしてすみません」
「ん、よかった」
すれ違いざまに声を掛けてくれて、そのままドアを手で押さえて、私たちを招き入れてくれる。
「室長、電話しますから」
「かしこまりました」
伊織さん不在の専務室。大きな窓の外はまだまだ明るい。
3人掛けのソファーに佐和と並んで座り、向かいに大森室長と長谷川くんが座った。
大森室長がスーツの胸ポケットから社用スマホを取り出し、センターテーブルの上に置いた。
「(なんの打ち合わせが始まるんだろう)」
きっとそう思ってるのは私だけだ。他の3人は神妙な顔つきでスマホを見ている。
それからすぐ、伊織さんから着信があった。
大森室長が通話ボタンを押し、スピーカーにされた。
『やっとお会いできました。今日はお時間をちょうだいし、誠にありがとうございます』
ひゅう、と喉がなる。支店長だ。
その声を身体が拒絶した。逃げ出したくなった私の腕をぎゅっと捕まえたのは佐和だった。
「体調どう?」
「大丈夫です。ご心配をお掛けしてすみません」
「ん、よかった」
すれ違いざまに声を掛けてくれて、そのままドアを手で押さえて、私たちを招き入れてくれる。
「室長、電話しますから」
「かしこまりました」
伊織さん不在の専務室。大きな窓の外はまだまだ明るい。
3人掛けのソファーに佐和と並んで座り、向かいに大森室長と長谷川くんが座った。
大森室長がスーツの胸ポケットから社用スマホを取り出し、センターテーブルの上に置いた。
「(なんの打ち合わせが始まるんだろう)」
きっとそう思ってるのは私だけだ。他の3人は神妙な顔つきでスマホを見ている。
それからすぐ、伊織さんから着信があった。
大森室長が通話ボタンを押し、スピーカーにされた。
『やっとお会いできました。今日はお時間をちょうだいし、誠にありがとうございます』
ひゅう、と喉がなる。支店長だ。
その声を身体が拒絶した。逃げ出したくなった私の腕をぎゅっと捕まえたのは佐和だった。