この結婚には愛しかない
「私たちがそばに居るから大丈夫」

「神田さん聞こう。専務が、君のご主人が守ってくれるから」

「俺は専務に言ってませんからね。昨日あれからすぐ室長に事実を伝えて、室長が室長の判断で専務に伝えたんですからね」


長谷川くんがおかしくて笑ってしまう。みんなの優しさに支えられてばかりだ。

でもそのおかげで、逃げ出さず、内容を聞こうと思えた。


呼吸もできる。涙も出ない。ちゃんと笑える。ただちょっとだけ不安だったので、佐和に手を握ってもらいながら、室長が事情を説明してくださるのを、落ち着いて聞くことができた。


伊織さんは昨日ミシェルさんと別れた後、室長と長谷川くんから私の話を聞き、すぐ家に帰られた。

帰りながら、経理部長に支店長へ最短のアポ取りを指示された。

支店長と伊織さんがお話をされる現場に、私を立ち会わせてはどうかという室長の提案は、伊織さんが拒否された。

案2として、オンライン会議機能を使って別室で見るのはどうかと長谷川くんが提案したのも同様に拒否され、音声だけを専務室でという条件で許可されたと教えてくれた。私に支店長の姿を見せたくないからとの事だった。


伊織さん、やっぱり昨日ご存知だったんだ。それなのに聞かないでいてくださったんだ。
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