この結婚には愛しかない
「楽しみです。旅行から帰ったら本格的に結婚式の準備が始まりますね。10月末なんてすぐですよね。ご列席ご参列くださる方々に感謝の気持ちが伝わるような披露宴にしたいです」

「そうだね。絶対キレイだよね莉央の花嫁姿。困ったな、みんなに自慢したいけど俺以外の男には誰にも見せたくないな」

「伊織さんは通常時でさえかっこよすぎるから、タキシードという最強装備を身につけた伊織さんは無双ですね。あ、でも和装も見てみたいです」

「ははっ無双。いいね。当日は着られる衣装にも限りがあるから前撮りで着たいものを全部着たらいいよ。それに、」

僅かに口ごもった伊織さん。綺麗な顔がほほ笑みを浮かべ近づいてくる。


「その頃には子どもが出来てるかもしれないしね」


囁きが耳にダイレクトに入って来て、身体がぎゅ、となって伊織さんにしがみつく。


「俺はそろそろ欲しいな。莉央はどう?」

「...私も欲しいです」

「この前莉央がウンベラータの神田さんを挿し木して増やしたでしょ?親木の隣に並んだ小さい鉢植えを愛おしそうに眺める莉央を見てたら、ね」

「あの...私も親神田さんの隣のチビ神田さん見ながら同じこと考えてました。赤ちゃん欲しいなって。伊織さんすごく可愛がるんだろうなって」


見つめ合い、ふふっと笑いあい、おでこをくっつけて、また笑って、口づけた。
< 211 / 348 >

この作品をシェア

pagetop