この結婚には愛しかない

「明日ジェイデンのスピーチで暴露されるかなと思ってるんだけど、こっそりネタバレね」

そう前置きして、この婚約指輪にまつわるジェイデンさんとの秘話を話してくれた。


「改めて...嬉しいです。この指輪にそんな想いが込められていたなんて」

「口にするとかっこ悪いし重いよね。ジェイデンのジンクスに願掛けだよ。莉央に振られませんようにって」

「心配ご無用です。私にとってはただただ素敵なエピソードでしかないです。伊織さんへの愛が増しただけです。それに私の伊織さんに対する愛の重さは負けてません。日々着実に増量中ですから」

「ははっ。またそうやってかわいい奥さんは俺を喜ばせるんだね」


えへへ、と伊織さんに甘える。身体を預けると、頭を撫でてくれる。


「明日も莉央の体調がいい日でありますように。辛かったらずっと座ってて。遠慮なく中座...いや退席していいからね」

「パパは心配性ですね」

「心配するよ。今は順調だけど明日は気をつけるに越したことはないってさっき先生も仰ってたし、双子はリスク高いし安定期もないって」

私をいつも安心させてくれる大きな手のひらが、下腹部に添えられる。
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