この結婚には愛しかない
居室に戻ると笑顔の小泉さんが迎えてくれた。

「おかえり。美味しかった?」

なぜかそれがすげえ嬉しくて。

「バカ美味かったっす」感情を抑えてそう答えたつもりでも、多分めちゃくちゃ笑顔になってたと思う。


「腹いっぱいっすよ。今日暖かいし居眠りしそう」

「起こしてあげるね」


いやあなた、言い方。そんなかわいい顔でかわいいこと言わんで欲しい。

わかってくれる?俺がいつまでたっても小泉沼にどっぷりなの、仕方なくね?


「宮内さんと大森室長へのお礼も豪華ランチっすか?」

メールチェックをしながら小泉さんに聞くと、それがねと笑う。


「佐和はまた韓国行ったらコスメ爆買いしてきてって」

「マジか。あの人ほんとすげえ。専務に強請るんかよ。大森室長は?」

「お礼なんていただけません。上司として対応しただけです。それに前職での心残りを払拭していただいて、逆にわたしがお礼をって頑なに拒まれた」

「真面目かよ。室長らしいな」

「だよね。笑っちゃった。だから今度何か喜んでいただけそうなギフトを選んでお渡しするよ」
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