この結婚には愛しかない
目鼻立ちがハッキリしていて、長谷川くんと同じくらいの身長。焦げ茶の無造作なパーマヘア。
ダークグレーのスーツをかっこよく着こなしていて、柑橘系の爽やかないい匂いがする。
全身から滲み出るモテオーラがすごい。
アパレルの店員って遊んでるのかな。何歳だろう。彼女...いそう、いないわけないか。
「ね、お友達はどう思います?」
「え?」
突然話を振られて困った。何も聞いてなかった。
鏡の前でネイビーのパンツスーツを試着中の莉央が「これにしようかな」と助け舟を出してくれた。
「あ、うん、莉央色白いしネイビーいいと思う」
「では裾の長さを決めていきましょう。1番綺麗なシルエットになるように調整していきますね。お好みのスタイルありますか?」
「美脚に見えるようにお願いします」
「もちろん。お任せ下さい」
笑顔で答え、しゃがみかけたその店員に、別の男性店員が声をかけてきた。
「沖田店長変わります」
「(沖田って言うんだ...店長なんだ...)」
「ああ、中村よろしく」
目の前で交わされるやり取りを無意識に目で追っていると、沖田店長が私の顔を、じ、と凝視する。
「前にどこかで会ったことないですか?」
うわ、ショック。生まれて初めての一目惚れの相手が軽い男だった。この手口のナンパは何度も経験がある。
でもショックなのに、ドキドキする。
「は?」
口をついて出たのは、かわいいには程遠いセリフと、それ相応の冷たさを含んだ声だった。
ダークグレーのスーツをかっこよく着こなしていて、柑橘系の爽やかないい匂いがする。
全身から滲み出るモテオーラがすごい。
アパレルの店員って遊んでるのかな。何歳だろう。彼女...いそう、いないわけないか。
「ね、お友達はどう思います?」
「え?」
突然話を振られて困った。何も聞いてなかった。
鏡の前でネイビーのパンツスーツを試着中の莉央が「これにしようかな」と助け舟を出してくれた。
「あ、うん、莉央色白いしネイビーいいと思う」
「では裾の長さを決めていきましょう。1番綺麗なシルエットになるように調整していきますね。お好みのスタイルありますか?」
「美脚に見えるようにお願いします」
「もちろん。お任せ下さい」
笑顔で答え、しゃがみかけたその店員に、別の男性店員が声をかけてきた。
「沖田店長変わります」
「(沖田って言うんだ...店長なんだ...)」
「ああ、中村よろしく」
目の前で交わされるやり取りを無意識に目で追っていると、沖田店長が私の顔を、じ、と凝視する。
「前にどこかで会ったことないですか?」
うわ、ショック。生まれて初めての一目惚れの相手が軽い男だった。この手口のナンパは何度も経験がある。
でもショックなのに、ドキドキする。
「は?」
口をついて出たのは、かわいいには程遠いセリフと、それ相応の冷たさを含んだ声だった。