この結婚には愛しかない
スーツができあがる今週金曜日。閉店時間の15分前、19時45分に莉央とお店に行く。(それまではご飯食べながら待機。アルコールは飲まない)

沖田店長を食事に誘う。莉央と誰かと4人で都合のいい日に行こうって。(私が誘えなかったら莉央にお願いする。こっちの都合のいい日はピックアップ済)

莉央が誘う時に使える“クッション言葉”という、魔法の言葉を教えてくれた。

『もし良かったら、食事に行っていただけませんか?』

もし良かったらの他にも、都合が良ければ。嫌じゃなかったら。が使えるって。

ため息が出る。こういう日本の堅苦しいところ、ほんと苦手だわ。


「敬語苦手。英語の方が得意」

「宮内さんが苦手なの謙譲語でしょ。(へりくだ)れねえもん」

「りおりお、店長さんにイケメンの友達連れてきてって頼もうよ」

「マジごめん。宮内さんごめんなさい」

「ふん!」


それから、断られたら...やけ酒。莉央の家に泊まる。

「断られなくても莉央の家泊まる」

「俺も!」

「長谷川くんはダメ。男性はうちにはお泊まりできません」

「宮内さんだけずるいっすよ」

「りおりお一緒に寝ようね」

長谷川くんをイジりながら、実は内心、不安で不安で。


そしてド緊張の金曜日、スーツ店で思いもよらない展開となるのだ。
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