この結婚には愛しかない
小泉さんは今にも泣き出しそうだ。

俺が断るんじゃないかって勘違いしてる?違うよ、そんなわけない。


ひとまず電話に出て、部屋から出ていく小泉さんを引き止め、嬉しいという率直な感想だけは何とか伝えた。


「最悪なタイミングだね」

『何よ最悪って』

「今愛する彼女と2人きりだったのに」

『ざまあみろだわ。でも本当に迎えに行ったのね...どうなの?うまく行きそうなの?』

「ああ、」

『へえ、よかったじゃない』

「ありがとう」

『別に。ああそれから、私はあなたとは働かないわ。もう少し様子見たいし、転職するなら台湾に帰るわ』

「そう、考えてくれてありがとう。気が変わったら待ってるよ。君がいてくれたら嬉しい」

『全く、あなたのそういうところよ』

「ん?ああ、ビジネスの話だよ」

『分かってるわよ!』


俺の頭の中はとにかく小泉さんで。

通話が終了したあとすぐにスケジュールを確認した。

小泉さんの誕生日が再来週末で、俺からのプロポーズはその日に決めた。

多少強引なリスケになっても仕方ない。


小泉さんに電話をしようとしたら、細谷から電話がかかってきた。
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