この結婚には愛しかない
『お疲れ様です。神さん聞いてくださいよ』

「連日愚痴は聞きたくないな。昨日も夜遅くに電話してきて。あ、ねえ婚姻届ってネットでダウンロードしたらいい?」

『え!神さん上手くいったんですね!おめでとうございます。さすが神さん。3年会ってないって聞いた時にはさすがに心配したんですけど。どんなプロポーズしたんですか?かっこいいんだろうなあ』

「逆プロポーズしてくれたんだ。俺からも改めて愛を伝えたいから、」

『逆プロポーズ?うわあ、されたいな。でも愛とかサラっと言える神さんが男前すぎる。ヤバいドキドキした』

「うん、細谷のドキドキはいらないから。忙しいから切るね。まあがんばって」

『神さんが冷たい!』


細谷とスピーカー通話しながら、婚姻届をダウンロードした。

小泉さんに電話をしようとして、メッセージに切り替えた。電車に乗っているかもしれないと思ったからだ。


それから、婚姻届に記入した。

明日社長に保証人をお願いして...そうだ。ホテルのスイートを予約しよう。花束の手配サービスもあるかな。今日帰った時フロントで聞いてみよう。

ジェイデン、ついにあの指輪を渡す時がきたよ。


その頃小泉さんがまさか泣いているなんて知らずに、プロポーズすることばかりを考え、胸を躍らせていた。
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