この結婚には愛しかない
たくさんキスをしたね。

愛し合いながら、何度も何度も「伊織さん」と名を呼んでくれたね。愛しくてたまらなかったよ。

長い間カラカラに干上がっていた心に、溢れそうなくらい愛が注がれて潤って満たされた。

身体は頭の芯まで痺れるほどの快感で、莉央の中で溶けるかと思った。


バスルームでも楽しかった。

俺、恥じらう莉央が性癖ど真ん中だったみたい。そのまま莉央の中に入らなかったから褒めてほしい。

でもあれだけ盛ってしまって、何年も性欲なかったなんて信憑性ゼロだよね。本能ってことで許してくれる?


もう少しこのまままどろんでいたくて目を閉じた。

少しして目を覚ました莉央が、一通り腕の中でじたばた動いて静かになった。

俺と一緒で、夢かと思った?


「神田さん。伊織さん...伊織さーん」

目をつぶったままの俺に話しかけたの?可愛いから、このまま寝たフリを続けるね。


頭を撫でられ、ふふっと笑い声が聞こえる。

「大好きです。好きすぎて...ずっとまつ毛数えていられる」

「ははっ」

「もう!起きてたんですね!」

堪えきれずに吹き出して、恥ずかしい!と後ろを向いてしまった裸の莉央を抱きしめた。


「おはよう。可愛い過ぎるのも問題だよね。まいったな。また莉央を欲しくなっちゃった」

「伊織さん!今日はお仕事されるんですよね」

「うん。するけどまだ、」

「晩ご飯食べに来てくださいね」

「それって、その後私を食べてって誘ってるよね?」
< 293 / 348 >

この作品をシェア

pagetop