この結婚には愛しかない
「無理。可愛い。ここにおいで」

膝の上に莉央を呼んだ。素直にそこに座った莉央を、今度は俺がバックハグだ。

ぶかぶかな俺のTシャツ1枚を身につけた莉央。細い体がその中で泳ぐ。

ああ、2時間前に俺が着せたのか。ミニ丈のワンピース状態で、なまめかしい太ももに、思わず指を這わせたくなる。


「メールチェックですか?すみませんちょっと画面見ちゃいました」

「ああ、このフォルダはコンフィデンシャルじゃないから問題ないよ」

「でもすごい量のメールですね。役職が上になればなるほど受信件数多いですもんね」

「CCも多いから全て対応必須じゃないけど、今日は会議ばかりでメールチェックができなかったから。ごめんね起こして」

「いえ、なんとなく目が覚めただけなので気にしないでください。新居は書斎があるから気にせずに仕事してくださいね。あ!でも伊織さん仕事しすぎるから体調管理はしていただかないと」

細くて白い首。Tシャツの首元からのぞく肩までのラインに誘われ首の後ろに唇を落とした。

「ん、」と肩をすくめる妻が可愛すぎる。


「そうだ。このメール見てよ」

別フォルダを開き、その最上段のメールをクリックして開いた。

今はまだ大森室長止まりだけど、近々莉央や長谷川くんの耳に入る案件だ。
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