この結婚には愛しかない
『それにそこの会社が営業欲しいの分かってますから。まともな営業経験ないでしょ。そこで俺のこの長年培ってきたナレッジとノウハウを遺憾なく発揮してじゃんじゃん仕事とりますから』

「採用は人事に任せてあるから、まあがんばれ」

『ちょ、神さん塩。面接はそっちで受けるんで神さんちに泊めてくださいね。奥さんにも早く会いたいな』

「お前さあ、わざわざ来なくてもオンラインでいいよね」

『あ、そうそう。俺の他にも営業と海外事業と...あと企画とエンジニアも数人、今月中にエントリーしますよ。10人は超えるかな』

「は?」

『以上。誕プレでした。よい休日を』


鳴り響く通話終了音にぽかんとして、莉央と顔を合わせて笑った。


「すごいプレゼントですね。どうしよう私負けちゃう」

「大丈夫。莉央ってだけで負けることはないから」


ふふっ、なんですかそれ。と笑う莉央を抱き寄せた。

笑っている振動が伝わってくる。


「伊織さん良かったですね。伊織さんが欲しい営業さんですよ」

「うん、まあ。いやでもあいつ家族...それに他って誰だろ」

「伊織さん。めちゃくちゃ笑顔ですよ。嬉しいですね。伊織さんの人望ですね」

「(うわ、恥ずかしいな)」

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