この結婚には愛しかない
「それと、俺以外の男の前でセクシーな格好をするのは絶対許さない。分かるよね?」

「...はい」

「それに俺、“されたい”より“したい”だし、かなり好きにさせてもらってる。莉央は莉央のままでいて」

「嬉しいです」


マンションの地下駐車場に車を停めた。はやる気持ちを抑え、玄関ドアが閉まるのも待てずキスをした。

それは莉央も同じで、少し唇を離すとすぐ追ってきて、積極的に応えてくれる。

柔らかな唇で唇を甘く愛撫され、ちゅう、と軽く舌を吸われ、どんどん気持ちが昂っていく。


会社でもあれだけしたのに、まだまだ、永遠に口づけていたい。と夢中になっていたところに。

ぐう、と遠慮気味に莉央のおなかが鳴って、2人とも我に返って笑った。


「...聞こえました?」

「莉央はお腹の音も可愛いんだね」

「やだ!恥ずかしい」

「莉央...大変だ。テイクアウト買って帰るの忘れてる」

「あ!ほんとだ!」

玄関でハグしたまま大笑いして、冬を越し、小さな新芽が顔を出し始めた“伊織さん”にただいまの挨拶をして。


結局、ビール片手にホットプレートで楽しみながらお好み焼きを焼いて、また俺だけひっくり返す時キャベツを飛び散らして、笑いながら食べた。
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