この結婚には愛しかない
「ヤバっ...俺神さんと付き合い長いけど知りませんでした。神さんが本気で惚れるとそんななんだ。で、そのビジュで花束抱えるんでしょ?もう好き。抱いて」

「...やだよ」

「本気で引くなよ。冗談だわ」

「分かってるよ」


すぐ調子に乗るから本人には言わないけど、細谷が来てくれてよかったと思っている。仕事面抜きで、旧知の仲だからくだらない話が気兼ねなくできる。

そういう意味で、俺にとって4月に来てくれた元ホールディングスメンバーたちの存在は大きい。

仕事面でも、語学が堪能な退職前の直属の元部下、経営に近い位置にいた企画時代の元部下。細谷の元部下の若い営業。

それから、元同期のエンジニアとその部下。

非常に優秀だと報告が入っている。既存社員と反発せずにうまく馴染んで、能力を発揮してもらいたい。これから社に戻ったらそこのフォローを入れよう。


細谷には何社か同行させた。実際の現場で営業力を見極めるためだ。見極めた上で、今日の重要な契約に連れてきた。

英語の対応ができるし交渉もうまい。ただ強引になりすぎるところがあるから、そこは俺がコントロールしてやる必要がある。

それを早い段階で自分でできるようにさせるのは、営業部の人間に任せてある。
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