この結婚には愛しかない
今日は終日出張予定だったから元々アポはなし。不測の事態で足止めを食らうこともなく、無事19時に退社した。

莉央は定時退社だったようで、これから帰ると連絡をいれると喜んでいた。


帰宅途中フラワーショップに寄って、黄色とだけ指定しておまかせでオーダーしていた花束を受け取った。

今回はひまわりメインで、渡した時の莉央の笑顔を想像するだけで笑顔になる。

莉央のおかげで花に囲まれた生活を送るようになって、俺まで花が好きになった。

今まで全く興味がなかったし、ほとんど知識もなかったのに。愛する人の影響は大きい。


「おかえりなさい!」

「莉央?びっくりした。どうしたの?駐車場に用事があった?」


駐車場に車を止めて、車から降りると莉央がいて。

とびきりの笑顔でハグしてくれた。


「1秒でも早く伊織さんをお出迎えしたくて来ちゃいました」

「ああもう、妻が可愛すぎる。ありがとう嬉しい」

「出張お疲れ様です」

「ん、たった今疲れが吹き飛んだ」

「伊織さん大好き」

莉央がハグする腕にぎゅう、と力を込め、上目でさらに「愛してます」なんて嬉しいことを言うから。


「今のは誘ったね?」

後部座席に莉央を押し込みキスをする。

ね、細谷。社内での莉央の可愛さは、ほんの一部でしかないから。
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