この結婚には愛しかない
ニコニコと嬉しそうな莉央が、チュ、とリップ音を鳴らして唇を離し、「お花のいい香りがしません?」と首を傾げる。


「(あ、忘れてた)」

車から降りドアを開けたままにして、助手席の花束を取って戻り手渡した。

「いつもありがとう」

「わーありがとうございます!ひまわりかわいいです!嬉しい!」

「喜んでもらえて嬉しいよ。莉央のその笑顔に俺の方が感謝したい」

「そんな、こちらこそいつもありがとうございます。ほんと可愛いです」

いつもこんなに喜んでくれるから、日頃の感謝を込めて花を贈りたくなるんだ。


家に帰ると必ず出迎えてくれて、栄養を考えた美味しいご飯を作ってくれている。

夜書斎で仕事をしていると、夜食を作って持ってきてくれる。一昨日の出張前夜は小さなおむすびと具だくさんの味噌汁だった。

急な出張やトラブルによる休日出勤で、せっかくの予定が中止になっても、ただ、俺の体調を気遣ってくれる。

休日はいつも俺の都合最優先で、付き合いや接待のゴルフが続いても、文句のひとつも言わずに送り出してくれる。


何も予定がない日は2人でゆっくり映画を見て過ごしたり、出かけたり。時々仕事について夜遅くまで真剣に語り合ったり、一日中ベッドの上で過ごすのも大好きだよ。


俺が贈った花を笑顔で花瓶に生ける莉央を見るのも、すごく幸せな瞬間なんだ。
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