この結婚には愛しかない
「愛してるよ。不安は俺と分け合おう。いつもそばで莉央を支えるよ」

「私も愛してます。これからもずっとそばにいてください」

「2人で小さな命を守っていこう。2人で愛していこう」

「はい」


見つめ合って、笑って。その笑顔が愛しくてたまらなくて。

キスしたい。そう思った瞬間、莉央からキスをくれた。

ゆっくり離れた唇。幸せそうに目尻を下げた笑顔の莉央に、今度は俺から、愛しい気持ちをキスに込めた。


「莉央はとにかく無理をしないこと」

「はい」

「あとね、絶対俺に遠慮しないで。我慢もしないで。イライラや、些細な心配も不安もぶつけて。俺が全て受け止めるから」

「ありがとうございます...不安な時は抱きしめてください」

「もちろん。不安じゃない時も抱きしめるけどね」

「はい。いつも抱きしめてください」

「じゃあ早速」

抱きしめて頭を撫でて。

俺が「ありがとう」と口にするたび、莉央も同じだけ返してくれる。いつまでも終わらないから笑って。


「きりないね」

「そうですね、じゃあ私たちのところに来てくれたこの子たちに」

「ああ、そうだね」

重ねた手から念を送る。小さな小さな子たちに、大きな愛を込めて。


「「ありがとう。どうか無事に産まれますように」」

申し合わせたかのような同じセリフに、笑いながら口づけた。
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