この結婚には愛しかない
スタッフに案内され、準備が整った莉央を迎えに行った。

ドアを開けると、振り返った花嫁に笑みがこぼれる。


純白のウエディングドレス姿の莉央の美しさに、説明は不要だ。


「莉央、世界一綺麗だよ」

「伊織さんこそ世界一宇宙一素敵です。なんですかそのけしからん色気は。髪型もいつもよりカチッとセットして、スーツ姿は見慣れてるはずなのに3ピースの白タキシード。はあ、大変。思った通り...思った以上の無双です」

「ははっまいったな」

一気に早口で喋った莉央に吹き出した。


お腹を締めつけないデザインのドレスは、刺繍たっぷりのオフショルダー。ふわりと広がるドレスの裾を踏みつけないよう近づいて、椅子に座るように促した。

「こんな綺麗な莉央を、俺以外の男に見せたくないな。式は中止にしよう」

「もう、伊織さん...」

「冗談。体調は?」

「絶好調です!」

「ん、よかった。でも」

「はい。無理はしません。辛くなったら伊織さんに言います」

「よろしい。じゃあ行こうか」


大聖堂のある厳かなチャペルで愛を誓った。一日ぶりに定位置に戻ってきたリングに、ふたりで目を合わせて笑い合い、誓いのキスをして、皆から祝福してもらった。


披露宴でのジェイデンのスピーチはたどたどしい日本語だったけど、俺は元を知ってるから、かなり練習してきたのが分かって嬉しかった。

バーで泣いたことと、願掛けの婚約指輪の両方をしっかり暴露されたけど。
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