この結婚には愛しかない
【番外編③-6】-side神田伊織-
【番外編③】
6.epilogue


社長との打合せが早く終わり、8時15分からの役員会議まで自室で過ごしていた。


育休中の莉央に代わり、現在経営企画にいる元ホールディングスの部下に、スケジュール管理を任せている。

他にも、俺が1人でこなしていた仕事を細分化して、人に任せ、俺はその統括をするように徐々に移行し始めた。

来年は社長就任が決まっているからいつまでも自由に行動できない。それに人を育てるのも仕事だ。

出張にはなるべく若手も連れていくようにしている。


と、プライベートのスマホがメッセージの受信を知らせた。

莉央から送られてきた、息子たちが気持ちよさそうに眠っている画像に頬が緩む。


【パパお仕事がんばってね
どっちがどっちでしょう?】

【右の青い服が(るい)、左の緑の服が(けい)
簡単だよ】

【正解!さすが伊織さん!
見分けられるのは私たちくらいですね
もうすぐ役員会議ですよね?
がんばってくださいね
今年も終わり次第入社式ですか?
伊織さんは今日も大忙しですね】

【ありがとう
がんばるよ
早瀬社長から土地の候補が来たら転送するから、時間があったら見ておいて】

【はい、承知しました】

【どうした?
育休中でも謙譲語と丁寧語?】

【あ、見逃してくれない、、】

【もう会議行くね
莉央は2人が寝てる間に休んでね】

【はい!
がんばってください】

スマホをポケットにしまい部屋を出た。

第1会議室に向かいながら、すれ違う社員たちからの、気持ちのいい挨拶と会釈に、笑顔で応える。


責任と重圧は常に抱えている。もちろん孤独もゼロじゃない。

社を導くものとして、間違えることは許されない。


でも俺には、俺を守ってくれるキミがいる。奮い立たせてくれる子どもたちがいる。


愛する妻と、子どもたちを幸せにする。

そして、我が社で共に働く従業員とその家族の生活を守るために、俺は今日も全力で働くよ。
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