この結婚には愛しかない
専務室でのやり取りを一通り話したら「どんなハグ?」と詳細を求められ、実際佐和とハグしてお互いの腕の位置と強さの再現をさせられた。
現在時刻は22時。私たちはもういつでも寝れる状態だ。
「りおりおはハグにも種類があるって知ってる?」
「知らないよ。日本人だもんお辞儀の種類しか知らない」
「神様神田さまの腕が莉央の腰でしょ?強さも時間も恋人のハグだから」
「もう2度と会えないかもしれないと思ってた神田さんにお会いできて、ハグしていただいて...会えたらお話ししたかった内容が飛んでいった」
そりゃそうでしょ。と佐和が笑う。
「莉央みたいに可愛くて健気な子におかえりってギュッてされたら、確実にソファーに押し倒すわ。神田さんの理性よく頑張った」
「佐和よくそんな発想思いつくよね。恥ずかしい」
「長谷川くんに挨拶っていうのもさ、牽制もしくはライバル調査だと思うよ」
「100%ないからそんなこと」
「じゃあこのお菓子の意味は?」
さっき佐和と一緒に食べた、こっそり食べてとくださった焼き菓子の箱を指差した。