この結婚には愛しかない

「でしょ?あ、なるべく早く連絡するって言われたんだよね?そろそろ来るんじゃない?」

「でも会社のスマホは私たち一般社員は持って帰れないし」

会社の規定で、社用スマホは課長以上の役席者のみ自宅に持ち帰る決まりになっている。


「違う違う。プライベートの方」

「それはないよ。だって今まで画像ばっかりで...」

「でも今日金曜だから土日挟むでしょ?休みの間、神田さんは莉央に不安な思いさせないと思うよ。一応スマホ持ってなよ」

通勤バッグからスマホを取り出した。念の為に画面を見ると、メッセージが何件か来ているようだった。


「来てない?見てみなよ」

佐和にも画面が見えたようで、スマホのロックを顔認証で解除してメッセージアプリを開く。

「来てる!」

「なんて書いてある?」


それは、神田さんからの2度目の言葉で。しかも今度は文章で。

【さっきは中途半端になってしまってごめん。
何度も言うけどすごく嬉しかった。
再来週の金曜日に食事に行こう。
食事だからね。オシャレしておいで。
食事の詳細はまた連絡する。
その日のリスケはチャットに指示入れるから月曜調整してね。】
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