この結婚には愛しかない
ヘアアレンジはおしゃれなゆるふわの編み込み。メイクも今日の服装に合うようにと、まるで別人のようにきれいにしてもらえた。


佐和からもらった誕生日プレゼントのピアスをつけ、仕上げに香水をひと振り。

ミニショルダーを肩にかけ、いつもよりヒールの高いパンプスを履いて、大きく深呼吸をして部屋を出た。


と、ちょうどマンション前に止まった1台のタクシーから、神田専務の姿が見えたので駆け寄った。


「お疲れ様です」

「...まいったな。今日は特別かわいいね」


タクシーから降りた神田専務が、ドアを手で押さえエスコートしてくださる。

まだ会って10秒なのに、胸の高鳴りがヤバい。


「ありがとうございます。神田専務は今日も素敵です」

「ありがとう」


ブラックスーツに身を包んだ神田専務に、いつもの柔らかい笑顔を向けられる。帰国直後の神田専務を独り占めできるなんて信じられない。
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