この結婚には愛しかない
言葉を濁された神田専務の体調が、ますます心配で仕方ない。

ホテル住まいなら、もちろん自炊も出来ないだろうし、それで余計“ご飯”を食べたいとおっしゃったのかもしれない。


あんなにお忙しくされているのに、家を探す暇なんておありだろうか。


「ちなみに、」と神田専務がおっしゃられたホテル名は、県内のハイクラスホテルの1つで。

1度佐和といちごビュッフェに行ったけど、こんなホテルにいつか泊まってみたいよねと話した記憶がある。


「それで、今日の食事はそのホテルね」

「え?ホテルでですか?神田さん海外から戻られたばかりだし、和食の方がいいんじゃないですか?もしよかったら、私の家に戻っていただいて、」

「だめ。今日は食事。ご飯はまたね。作ってくれるの楽しみにしてるよ」
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