この結婚には愛しかない
「ビジョンできたんだよね?」

「はい、また神田さんにご確認いただきたく、」

「じゃあ週明けは事業部長たちと大バトルかな」

「そうなんですか?」

「各事業部長が作った目標をブラッシュアップさせるのが俺の仕事。利益目標上げてコスト下げさせなきゃ」

そうなんだ...

神田さんが戻ってこられてつくづく思う。本当にこの人はどれだけ広い視野で会社を見られているのかと。かと思えば、見落としてしまいそうな細かなところまで見ていらっしゃる。

白い紙袋を手にソファーに戻ってこられた神田さんが、はいこれ、と渡してくださった。


「ありがとうございます」

受け取ったと同時に、また腕も太ももも隙間なく重なるほど近くに座られ、肩に腕が回された。

そんなの全く気にとめないご様子で「韓国コスメ人気なんでしょ?」と紙袋を指さされる。


「私愛用してます」

「へえ、じゃあ気に入ってもらえるかな?」

「これ高くて手が出なかったデパコスです。しかもセットになってる。わあ!アイシャドウやリップもたくさん!ありがとうございます。すみませんお仕事で行かれたのに」

「これ買ってる時から小泉さんに会いたくなってたからね」


言った本人はしれっとしてて、言われた私の方が赤面してしまう。
< 85 / 348 >

この作品をシェア

pagetop