この結婚には愛しかない
「伊織さん、私こういうことするのが本当に久しぶりで、ちゃんとできるか...」
伊織さんが、ふ、と笑みを浮かべ「嬉しいな」とシャツを脱ぐ。
「俺もだよ」
「うそ...」
「もうずっと恋人もいないし性欲も全くなくて、性欲ないのはさすがにやばいかなって思ってたんだけど、問題なかったみたい。今莉央を抱きたすぎて自制できない」
上半身裸になった伊織さんがベッドの上で膝立ちになり、スラックスのベルトをカチャ、と外す。どうしよう。心臓が破裂しそう。
「かっこいい...」
目に映る引き締まった体が男らしくて。ゴツゴツと骨っぽい裸を初めて目にして、自然と口からこぼれた。
素肌の伊織さんが私に覆い被さって抱きしめてくれる。心臓が口から飛び出しそうなほど緊張する。そんな私を知ってか知らずか、頭を撫でてくれる。
伊織さんの身体が熱い。僅かだけどその熱がじわじわと緊張をといてくれる。
それから、軽い口づけ。時間をかけてゆっくりじっくり深くなる。
気持ちよくて、体の力が抜けていく。
「身体のこわばりがだいぶ取れたみたいだね」
「はい」