この結婚には愛しかない
「莉央、りーお」
「(...ん、)」
目を開けると、伊織さんの腕に抱かれていた。伊織さんもベッドに横になっていて、腕枕をしてくれている。
気だるげな表現から色気が漏れている。いつもセットされている前髪が少し崩れて目にかかっていて、それがまたすごくいい。
「身体大丈夫?」
「大丈夫じゃないです。起きれない...」
「ははっかわいい。ごめんね、優しくしたいゆっくりしたいって思ってたんだけど、ちょっと無理だった」
「いえ、すごく優しく、ん、」
ケホケホと咳が出る。喉がカラカラで上手く声が出ない。体に力は入らないし、まだ余韻がすごくて、まるで自分の体じゃないみたいに言うこと聞かない。
「なにか飲む?」
「いえ、このままくっついていたいです」
「そうだね。俺も離れがたいな」
伊織さんの素肌がスルスルと気持ちよくて。私からもぎゅ、と抱きしめる。
「ん、嬉しいんだけど...まいったな。またすぐ抱いていい?」
「無理です!」
「ははっだよね。後でお風呂でね」
「お風呂で?お風呂で何を?」
「分かってるくせに言わせたがって、困った奥さんだな。っと、逃がさないよ」
じたばたする私を抱きしめて。
「後で一緒にお風呂入るよ。これは決定事項」
突然の仕事モードに、ドキドキして、伊織さんの胸に顔を埋めた。