Heart magic
「そっか。でも同じ県とは思えないくらいこっちの方なにもないでしょ?」

友達がこっちに住んでいるのかもしれない。

けれど、都会の方から来た彼なら不便すぎると思うだろう。私も実家は都会の方だから最初は不便だとは思ったのだから。



「まぁ。でも星瀬浜にはよく来てたんで慣れてはいますよ、この景色。」

「そうなの?」

……それは意外。ここ、穴場で誰もいないのに…、

「柚__あ、いや幼馴染がフォトグラファーが夢でよく色んな景色の場所探して見つけたんすよ、ここを。それで連れてきてもらって夏にここで何回か遊んだから。」

と私の心を読んだように先回りして言った。


そう話した彼の顔は懐かしむようで、昔を追い求めるような……そんな寂しそうな表情をしていた気がする。


「そっか……。」

なにか話を続けようかと思ったけど、初対面の人のことが分かるわけもなく変に口出しするのはどうかと思って、口を閉じた。



< 15 / 50 >

この作品をシェア

pagetop