Heart magic
大金持ちの家に生まれたために孤独を拭いきれなかった私。
高校生になった夏休み、私は家族と避暑地にある別荘へと遊びに来ていた。
高校生にもなって、親と出かけなければいけないなんて憂鬱すぎる。
けれど、あいにく私に遊んでくれる友達なんていなかった___
本当ならこんな、お嬢様というしがらみから解放されて、友達を作って遊びたい。
でも家族を何よりも大切にするこの人たちからは逃げられない。
何をしても。
本当は別荘に来ることさえ嫌だったのに。
だって……、普通のクラスメイトになんてありえない話だから。
だから……、
親が親戚の人と賑やかにしているうちに私は外へ逃げ出した。
心が限界を迎えていたんだと思う。
孤独と苛つきで、何一つ楽しくなかったのだから。
どこに向かっていたかなんてわからない。
ただ、がむしゃらに走り続けた。