あなたの子ですよ~王太子に捨てられた聖女は、彼の子を産んだ~
『聞いて、お兄さま』
デビュタントのためにあつらえた真っ白なドレスを着たまま、コリーンはヘンリーの部屋に飛び込んできた。
『コリーン。また、そのような格好のままで。せめて着替えてからここに来るべきだろう?』
『だって、お兄さまに早く話を聞いてもらいたくて』
どうやらコリーンは、他の人よりも魔力が強いと鑑定されたようだ。それは、国家魔術師になれるくらいの魔力。
コリーン本人は、国家魔術師に乗り気のようであったが、あの父親が反対した。
あの父親のことだから、なんとなく予想はできる。
『でも、父さんの気持ちもわかるような気がする。魔術師になるための鍛錬は厳しいって言うだろう? コリーンはそれに耐えられるのかい?』
本来であれば、そこで背中を押すべきだったのかもしれない。
だけど、どこかそんな妹を羨ましいと思ったヘンリーは、父親の考えにのったのだ。
『でも、悔しいじゃない。魔術師になれる魔力が認められたのよ? やってみて、耐えられないって思ったらやめるとか。そんなんじゃダメなのかしら』
コリーンの気持ちも、十分に理解できる。もしそれが自分であったのなら、厳しさの先に待つ明るい未来を思い描いて、乗り越えようとしただろう。現状を打破するために。
だけど、彼女だけはそうなってはダメなのだ。
『コリーン。せかっくデビュタントを迎えて、立派な淑女の仲間入りをしたんだ。コリーンがやるべきことは、素敵な男性と巡り会って、幸せな結婚をすることじゃないのかい?』
『それはそうだけど……』
デビュタントのためにあつらえた真っ白なドレスを着たまま、コリーンはヘンリーの部屋に飛び込んできた。
『コリーン。また、そのような格好のままで。せめて着替えてからここに来るべきだろう?』
『だって、お兄さまに早く話を聞いてもらいたくて』
どうやらコリーンは、他の人よりも魔力が強いと鑑定されたようだ。それは、国家魔術師になれるくらいの魔力。
コリーン本人は、国家魔術師に乗り気のようであったが、あの父親が反対した。
あの父親のことだから、なんとなく予想はできる。
『でも、父さんの気持ちもわかるような気がする。魔術師になるための鍛錬は厳しいって言うだろう? コリーンはそれに耐えられるのかい?』
本来であれば、そこで背中を押すべきだったのかもしれない。
だけど、どこかそんな妹を羨ましいと思ったヘンリーは、父親の考えにのったのだ。
『でも、悔しいじゃない。魔術師になれる魔力が認められたのよ? やってみて、耐えられないって思ったらやめるとか。そんなんじゃダメなのかしら』
コリーンの気持ちも、十分に理解できる。もしそれが自分であったのなら、厳しさの先に待つ明るい未来を思い描いて、乗り越えようとしただろう。現状を打破するために。
だけど、彼女だけはそうなってはダメなのだ。
『コリーン。せかっくデビュタントを迎えて、立派な淑女の仲間入りをしたんだ。コリーンがやるべきことは、素敵な男性と巡り会って、幸せな結婚をすることじゃないのかい?』
『それはそうだけど……』