あなたの子ですよ~王太子に捨てられた聖女は、彼の子を産んだ~
さらに彼女は、将来の王太子妃としての教育も受けていた。また、王城に務めている友人とも会っていたようだ。
国王としての視察にも付き合ってもらった。彼女を、王族として取り込んでいくのが、デイヴィスの作戦でもあったのだ。
「クロヴィス、聖女殿とはどうだ?」
聖女と会ったであろう日にクロヴィスにそう尋ねると、彼は少しだけ嬉しそうに口角を上げる。
間違いなくクロヴィスは聖女を好いている。だが、その素振りを見せないようにと、淡々と言葉を紡ぐ。
「ほう。では、婚約期間は一年、その後、結婚という流れで問題はないな」
デイヴィスの言葉に、クロヴィスは黙って頷いた。
しかし、そんなクロヴィスの様子が変わったのは、聖女と婚約をして半年が経った頃である。あれほど聖女に想いを寄せていたクロヴィスは、夜会などに他の女性を隣におくようになった。
もちろんデイヴィスはそれを咎める。
「ウリヤナもわかっておりますから」
クロヴィスは余裕を持たせた笑顔でそう答えた。
聖女は聖女であるのに、クロヴィスは聖女をウリヤナと呼ぶ。婚約者の彼女は、聖女でありながらも一人の女性だと、彼は思い、それを意識している。
「聖女との婚約が、取り消されるような行動だけは慎め」
そう何度も強く言ったが、クロヴィスはどこ吹く風であった。
次第に、聖女がクロヴィスとの婚約を解消したがっているという話も耳に入るようになる。
国王としての視察にも付き合ってもらった。彼女を、王族として取り込んでいくのが、デイヴィスの作戦でもあったのだ。
「クロヴィス、聖女殿とはどうだ?」
聖女と会ったであろう日にクロヴィスにそう尋ねると、彼は少しだけ嬉しそうに口角を上げる。
間違いなくクロヴィスは聖女を好いている。だが、その素振りを見せないようにと、淡々と言葉を紡ぐ。
「ほう。では、婚約期間は一年、その後、結婚という流れで問題はないな」
デイヴィスの言葉に、クロヴィスは黙って頷いた。
しかし、そんなクロヴィスの様子が変わったのは、聖女と婚約をして半年が経った頃である。あれほど聖女に想いを寄せていたクロヴィスは、夜会などに他の女性を隣におくようになった。
もちろんデイヴィスはそれを咎める。
「ウリヤナもわかっておりますから」
クロヴィスは余裕を持たせた笑顔でそう答えた。
聖女は聖女であるのに、クロヴィスは聖女をウリヤナと呼ぶ。婚約者の彼女は、聖女でありながらも一人の女性だと、彼は思い、それを意識している。
「聖女との婚約が、取り消されるような行動だけは慎め」
そう何度も強く言ったが、クロヴィスはどこ吹く風であった。
次第に、聖女がクロヴィスとの婚約を解消したがっているという話も耳に入るようになる。